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ブラームスとの「悲劇的」なエピソード

岡田 充子(Fl)

 維持会員の皆様、いつも新響を応援してくださってありがとうございます。以前維持会の係をしていたときは皆様の暖かい励ましのお言葉を直接お聞きすることができ大変うれしく思いました。今回は音楽とはあまり関係ない非常に私的な話ばかりで申し訳ありません。
 高1の時ブラームスの第1交響曲に夢中になってからは、毎日ブラームスの交響曲を聴いて過ごす3年間でした。(ちょっと暗い女子高生?)大学以降も、ブラームスはずっと大好きな作曲家でした。曲がすばらしいだけでなく、実際に演奏してみてもフルートは1番だけでなく2番もとても面白く、何度でも演奏したい曲ばかりですし。そして就職してしばらくして初めてヨーロッパを訪れ、ウィーンに出かけた時のことです。ウィーンの中央墓地には有名な作曲家のお墓が集まっている場所があります。もちろん我が愛するブラームスも。私は張り切って墓地に出かけ、まず赤いバラをブラームスのお墓に捧げました。中央墓地のブラームスのお墓には彼の胸像がついています。肩肘をついて視線を斜め前方に向けている像です。この前に立って写真を撮ればあこがれのブラームスとのツーショットが撮れる!!私は喜び勇んで墓石の前方に並んで写真を撮りました。帰国後わくわくしながら現像してみると、なんと!!ブラームスの視線は私とまったく逆方向に向いていて、これでは「ブラームスに無視されている写真」ではありませんか!!
 その年の冬、その頃所属していた関西の某アマオケのメンバーと一緒にウィーンで年越しをすることになりました。みんなと中央墓地に出かけた私はもう一度ブラームスとのツーショット写真に挑戦しました。今度は反対側に立ち、胸像の視線もよ~く確認してから撮影。安心してウィーンのワインとフォルクスオパーのこうもりを楽しみながら新年を迎え、今度こそ、と帰国後いそいそと現像してみたら、なんと!!ブラームスの視線は確かに私の方を向いているのですが、その表情はなんだかさえなくてこちらをちらっと見ている・・・これでは「ブラームスにあきれられている写真」ではありませんか!!今のようにデジカメが普及している頃だったらこんなことはないかもしれませんね。
 その後もウィーンは何度か訪れましたがまだブラームスとのツーショット写真には再挑戦できていません。どなたか成功された方がいらっしゃいましたらぜひ方法を教えていただきたいものです。ところで翌年私はそのアマオケのトロンボーン奏者と結婚することになったのですが、結婚式の前の演奏会で吹いたのがマーラーの交響曲第6番「悲劇的」。結婚式直後の演奏会で吹いたのが今回演奏するブラームスの「悲劇的」序曲。なんとなくその後の生活に不安を抱いた私でしたが、なんとかずっと一緒にオーケストラを続け来年20周年を迎える予定です。久々の「悲劇的」序曲、演奏は悲劇的にならないようにがんばります。 


第198回演奏会(2007.7)維持会ニュースより

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