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第260回演奏会のご案内

 今回の演奏会では指揮に湯浅卓雄氏を迎え、イギリスの国民的作曲家ウォルトンの交響曲と、今年で生誕100年となる別宮貞雄作品を演奏します。
 長年イギリスに居を構え、国際的に活躍してきた湯浅氏にとって、ウォルトンの交響曲第1番は特に大切にしているレパートリーの一つです。また、ナクソスの「日本作曲家選輯」シリーズで多くの邦人作品の録音をしていますが、別宮貞雄の交響曲第1番、第2番も発表しており、造詣の深いアプローチが期待できます。


とにかくカッコいいウォルトンの交響曲第1番
 ウィリアム・ウォルトンは1902年ランカシャー州オールダム生まれ。父親は教会合唱団の指揮者で10歳からオックスフォード聖歌隊学校で学び、その後オックスフォード大学に進むも中退し、ロンドンでほぼ独学で作曲活動を始めました。
 交響曲第1番は作曲の途中に映画音楽を手掛けるなどしたため3年かけて完成しました。ウォルトンは、ローレンス・オリヴィエ監督の『ヘンリィ五世』など多くの映画音楽を書いており、しばしば演奏される『スピットファイヤー』も同名の映画の音楽を再編したものです。
 ウォルトンの交響曲第1番は、近代的な作風ながら端正で活力に満ち華やか。現代の映画音楽にも通じる聴きやすい曲ですので、初めて聴く方にも楽しんでいただけるでしょう。


美しく心に響く別宮貞雄の音楽
 別宮貞雄は1922年東京生まれ。東京大学理学部物理学科と同大学文学部美学科を卒業後、渡仏しパリ音楽院でミヨー、メシアンに作曲を学びます。「音楽本来の使命は、普通の人々の感情に幅広く訴えるところにある」と主張し、前衛音楽に向かわず、調性のある古典的なスタイルに繊細な抒情性を盛り込んだ独自の作風を確立しました。
 『管弦楽のための二つの祈り』は帰国後に修行時代の集大成として作曲され、毎日音楽賞と尾高賞を受賞した別宮の出世作。「悲しみを持って」「雄々しく」と名付けられた2つの楽章からなり、しっかりした構造の中に人間の感情が表されています。
 『第3交響曲』は1984年別宮61歳の時に完成。「春」という副題があり、春の訪れと山の自然と喜びに満ちた人々が表現されています。瑞々しく陽気さに溢れたこの曲は、聴くと楽しい気分になることでしょう。
 どうぞお楽しみに!(H.O.)

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