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第252回演奏会のご案内

チェコの国民的作曲家スメタナ
 今回のコンサートでは、チェコ国民音楽の祖として知られるスメタナの代表作、連作交響詩『わが祖国』を演奏します。中欧に位置するチェコの首都プラハは、歴史的な建物が残る美しい街並みで、多くのホールを有する音楽の都でもあります。毎年「プラハの春音楽祭」が開催され、オープニングはスメタナの命日である5月12日に『わが祖国』全曲が演奏されます。この音楽祭が始まったのは1946年、ドイツから解放され明るい希望に満ちた春を迎えた時です。長年自由と独立を求めてきたチェコの人々にとって『わが祖国』は大切な曲なのでしょう。
 スメタナ(1824-1884)は幼少期よりピアノとヴァイオリンに親しみ、その後プラハで学びピアニストとして活動を始めます。チェコは当時オーストリア帝国の支配下にありましたが、1848年に起きたプラハ革命運動に参加し、愛国的な作品を書きました。ピアニストとして高く評価されず政治情勢にも失望し、スウェーデンのヨーテボリに移りピアニスト、指揮者として成功しますが、異国での滞在により民族的な自覚が高まったスメタナは、祖国で音楽家として進むことを決意してプラハに戻り、その後、チェコ国民オペラを上演する仮劇場(国立劇場完成までの仮劇場)の首席指揮者に就任、チェコの農村風景を描いた『売られた花嫁』など8つのオペラを作曲しました。

チェコの伝説、歴史、自然をテーマにした『わが祖国』
 「ヴェシェフラド」は高い城という意味ですが、プラハの丘の城跡でチェコ人にとって歴史的シンボルです。かつて伝説の女帝リブシェが城を構えていたと言われ、神話の中の予言が表現されています。「ヴルタヴァ」はモルダウとして有名な曲です。ヴァルタヴァ川はチェコ最長の川で、プラハ市街地を流れます。「シャールカ」はリブシェ亡き後に起こったとされる乙女戦争の伝説の物語。「ボヘミアの森と草原から」はチェコの田舎の美しい風景と人々の暮らしが表現されています。「ターボル」と「ブラニーク」は15世紀に起きたフス戦争(チェコの宗教改革派とカトリックとの戦争)の戦士を讃える曲です。
 スメタナは晩年聴力を失い、『わが祖国』は失望と苦悩の中で作曲されました。チェコ音楽確立を目指し、単に民謡の引用でなく近代西洋音楽の手法で自国の文学や歴史を表現するという信念があったのでしょう。その音楽は今も私たちの心に響きます。どうぞお楽しみに!(H.O.)

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