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第234回演奏会のご案内

創立60周年シリーズ第3弾
新交響楽団は、創立以来アマチュアオーケストラとしての可能性を追求し活動をしてきました。2013年からはパリを拠点に活躍する矢崎彦太郎を指揮に迎え、フランス音楽にも積極的に取り組んでおります。矢崎との4回目の共演となる今回は、フランス交響曲の金字塔ともいえるベルリオーズの幻想交響曲に挑みます。

近代管弦楽法の父ベルリオーズ
幻想交響曲が作曲されたのは1830年、ベートーヴェンの第九交響曲とほぼ同時期、ブラームスはまだ生まれてもいない時です。交響曲が絶対音楽であった時代に各楽章に標題がついた物語になっていること、それまで使われたことのないコール・アングレやE♭クラリネットなどの特殊楽器を含み、ハープ2台、ティンパニ奏者2人(一部は4人)という大編成で、当時は極めて斬新な作品だったのです。ドイツやロシアの大作曲家たちにも多大な影響を与えました。200年近く前の最先端の曲ですが、ドラマチックでわかりやすく、あまりクラシックに馴染みのない方でも楽しめる曲です。
ベルリオーズは開業医の息子で医学部に進学しましたが、解剖学で挫折して音楽の道へ進みます。23歳の時にシェイクスピア劇団の主演女優に片思いし、その体験を基に書かれたのが幻想交響曲です。作曲者自身の解説を要約すると「病的な感受性と激しい想像力を持った若い芸術家が、恋の悩みから絶望して阿片自殺を図るが、服用量が少なすぎて死に至らず、奇妙な一連の幻想を見る」とあり、失恋して恋人を殺し死刑になり自分の葬式に悪魔や魔女が踊る、でもそれは夢の中というお話なのですが、その後ピアニストと恋をし婚約したのに別の男と結婚されて、相手を殺して自分も自殺しようと企てますが未遂に終わります。この感受性と情熱が名曲を生んだのでしょう。

日本の正統派作曲家 三善 晃
三善は高校生の頃に作曲を志し、東京大学仏文科在学中にフランスに渡りパリ音楽院で作曲を学びました。その後は数々の賞を受賞し積極的な創作活動を行う一方、桐朋学園では長く学長を務めるなど教育者としても活躍しました。多くの合唱曲を残し管弦楽作品が吹奏楽に編曲されるなど、作品は広い分野で親しまれています。
今回演奏する「管弦楽のための協奏曲」の総譜には、自身の言葉で「この作品までは、内的な秩序に手がかりを得ていた音の追及を、はじめて、外的存在としての音と内的秩序の接点に求めてみたものです。」とあり、シェーンベルクの影響をうかがわせる意欲作です。
10年前の新響創立50周年で指揮の故小松一彦氏と「交響三章」を演奏しましたが、次は「管弦楽のための協奏曲」をという約束をようやく果たせます。精緻で端正な三善作品は、ある意味難解な現代音楽かもしれませんが、カッコよくて美しい、曲の持つエネルギーを楽しんでいただければと思います。
どうぞお楽しみに!(H.O.)

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