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第224回演奏会のご案内

■伊福部昭生誕100年

 2014年は日本を代表する作曲家である伊福部昭が生まれて100年目にあたります。魅力的な作品の数々は民族的でありながらグローバル、また「ゴジラ」など多くの映画音楽でも活躍をしました。新交響楽団は今までも伊福部作品を大切に取り上げてきましたが、今回の演奏会では、彼の門下生である黛敏郎、芥川也寸志、松村禎三の作品とともに演奏します。
 指揮には湯浅卓雄を迎えます。湯浅は高校卒業後にアメリカ留学を経てウィーン国立音楽大学で指揮を学び、イギリスを中心に国際的に活躍し、現在は東京藝術大学演奏藝術センターの教授を務めています。世界最大のクラシック音楽レーベルとなったナクソスで多くの録音を残していますが、特に「日本作曲家選輯」シリーズにおいて日本人作品を紹介し、曲に新たな生命を吹込み鮮やかに聴かせてくれます。

■偉大な作曲家と弟子たち
 伊福部は1914年(大正3年)釧路生まれ。中学2年の時に独学で作曲を始めますが、北海道帝国大学(現在の北海道大学)農学部に進み卒業後は道庁の林務官となりますが作曲を続け、チェレプニン賞(フランスで開催された日本人作品のコンクール)で1位となります。第二次大戦後、知人から映画音楽の誘いがあり日光に転居、東京音楽学校(現在の東京藝術大学)の作曲科講師となりました。その最初の教え子に黛、芥川がいました。この2人はその後作曲以外にも多方面で活躍したのは万人の知るところです。
 松村禎三は旧制第三高等学校(現在の京都大学)を卒業後に東京藝術大学を目指しますが、試験時の身体検査で結核に冒されていることがわかり長期の療養を余儀なくされます。その快復期に書いた作品が毎日音楽コンクール第1位となり、その時に声をかけられた伊福部に師事をするようになりました。
 伊福部は、その後東京音楽大学で作曲科教授、学長を務めるなど、多くの弟子たちを輩出しました。

■ベルリンの感動をふたたび
 新響は1993年にベルリン芸術週間に招聘されましたが、その時演奏したのが伊福部「ラウダ・コンチェルタータ」でした。協奏曲風の頌歌(神をたたえる歌)という意味で、自然と人間が対話し昂揚していきます。独奏マリンバには、ベルリン公演と同じ安倍圭子を迎えます。安倍は世界的に活躍するマリンバ奏者で、76歳にして現役の演奏家として日本のマリンバ界をリードしています。「ラウダ」は元々木琴協奏曲として書かれたが演奏されず、安倍のマリンバを想定して書き直されました。安倍により初演され十八番となっています。
 芥川「エローラ交響曲」もまた新響にとって大切な曲の一つです。インドのエローラ石窟寺院に衝撃を受けて書かれたこの曲は、神秘的で躍動感のある名曲です。
 どうぞお楽しみに!(H.O.)

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