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第205回演奏会のご案内

高関健とマーラー

 新響は2007年10月の第199回演奏会で高関健を指揮に迎え、マーラーの交響曲第9番を演奏し好評を博しました。今回の演奏会では、その高関=マーラーの第2弾として、彼の交響曲の中でも最もドラマティックな第6番を取り上げます。
 高関のマーラー演奏には定評があり、細部を丁寧に作り上げることで壮大な世界が構築されます。大きな特徴は原典主義ともいえる徹底した楽譜へのこだわりです。交響曲第6番は初演前にスコアが出版されていましたが、最高の完成度をめざして楽章配置をも対象としたさまざまな変更が続けられた結果、多くの版が存在します。今回は最新の校訂版(1998年版)に変更を加えたものを使用します。

運命の打撃

 ウィーン音楽院を卒業したマーラーは、1881年に21歳でライバッハ(現スロヴェニアの首都リュブリャナ)市立歌劇場の楽長に就任したのを皮切りに、各地の歌劇場を遍歴します。指揮活動で多忙なマーラーは、夏休みに保養地の静かな作曲小屋に籠り、集中的に作曲に取り組みました。第6番が作曲されたもの1903年と1904年の夏です。当時のマーラーはウィーン宮廷歌劇場監督として仕事にも恵まれ、結婚して2人の娘を授かり幸せの絶頂の時期でした。
 作曲者自身により「悲劇的」という副題を付けられたこの曲は、巨大な編成に加え、珍しい打楽器が数多く使用されています。中でも床を叩くハンマーが有名です。マーラーはハンマーについて「主人公は運命の打撃を3回受ける。その3回目が木を切り倒すように、彼を打ち倒してしまう。」と妻のアルマに語ったということですが、これから少しして本当に3回の打撃がマーラーを襲います。ウィーン宮廷歌劇場辞任、長女の死、および自身の心臓病の発覚であり、まさに彼自身の悲劇を予知した曲となってしまいました。

新ウィーン楽派〜ウェーベルン

 マーラーがウィーンで活躍していた頃に台頭してきたのがシェーンベルクらの新ウィーン楽派で、マーラーの影響を少なからず受けています。ウェーベルンの曲は極端に短いものが多いですが、凝縮し洗練された美しさがあります。第二次大戦後の現代音楽に大きな影響を与えており、そのルーツのひとつに位置づけられるでしょう。
 今回取り上げる「6つの小品」はウェーベルンの代表作で、彼の作品の中では比較的わかりやすくポピュラーなものです。無調音楽というと難解で堅苦しいと考えられがちですが、ぜひ楽しんで聴いてみてください。この曲は2管編成の改訂版で演奏される機会が多いですが、今回は編成の大きな原典版を演奏します。

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