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第198回演奏会のご案内

山下一史 初登場
 今回の演奏会では、指揮に山下一史氏を迎えます。カラヤンの助手をつとめていた1986年、急病のカラヤンの代役としてジーンズ姿のままベルリンフィルの「第九」を振り話題となりました。以後国内外で活躍しており、情熱的なタクトと緻密なアンサンブル作りに定評があります。新響は初共演にあたり、山下氏がライフワークとしているリヒャルト・シュトラウスの作品を選びました。

英雄の生涯=R.シュトラウスの「自伝」
 リヒャルト・シュトラウスは、ミュンヘン宮廷歌劇場の首席を45年間つとめた名ホルン奏者を父に持ち、古典派音楽の教育を受けて育ちますが、大のワーグナー嫌いだった父の意に反しワーグナーやリストに傾倒していきます。若い頃に交響詩を7曲書いており、この「英雄の生涯」は最後の交響詩作品です。
 「ドン・ファン」や「ツァラトゥストラはかく語りき」といった彼の他の交響詩が文学作品をテーマにしているのに対し、「英雄の生涯」には文学的なモデルがなく、自伝ではないかといわれています。リヒャルト・シュトラウス=英雄が輝かしく成功し、妻をめとり、敵に叩かれながらも立ち向かい勝利して、業績を残して静かな余生を送るという一生を、4管編成ホルン8本の大オーケストラで楽しく描かれます。当時既に指揮者としても作曲家としても人気を博していたとはいえ、まだ34歳で自伝とは、ユーモアなのか自己顕示欲が強いのか・・・。いずれにせよ作曲家はその後50年生き、「英雄の生涯」のような人生を過ごしました。

R.シュトラウスとブラームス
 リヒャルト・シュトラウスが21歳の時、ブラームスにアドヴァイスをもらっています。ワグネリアンであったとはいえ、30歳年上の巨匠との出会いは嬉しかったことでしょう。
 コンサートの前半では、意外に数の少ないブラームスの管弦楽曲の中から、明るい「大学祝典序曲」と対で作られた「悲劇的序曲」と、古い賛美歌がテーマとされる「ハイドンの主題による変奏曲」を演奏します。
 ブラームスは、ワーグナーやリストといった同時代の作曲家が扱っていた標題音楽には手をつけず、絶対音楽にこだわっていました。同じドイツロマン派でも、古典主義的で室内楽的に美しいブラームスの作品と、一歩先を行っていた壮大な響きのリヒャルト・シュトラウスの作品の組み合せで、オーケストラの2つの顔をお楽しみください。

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