第157回演奏会(1997年4月)維持会ニュースより


アシスタント奏者って何?

 管楽器では、本来あるパートのほかに「アシスタント」がつくことがあります。
 例えば一番奏者のアシスタントであれば「1アシ」と呼んでいます。
 人数を倍にして大きな音量が出せるようにしたり、大切なソロに備えたりするために代わりに吹いたりします。曲によって、ホールによって、奏者のつごうによって、指揮者の考えによって、アシスタントがついたりつかなかったりするのです。アマチュアオーケストラで団員が多いから大勢で演奏しているのではなく、プロのオーケストラでも(世界的に一流のオーケストラでも)アシスタントをつけて演奏することがあるのです。
 ですから本来あるパート数(楽器編成にのっているパート数)よりも数多くの管楽器奏者がステージにいるときはアシスタントがいると思ってください。
 現在のオーケストラでは、昔のオーケストラに比べ弦楽器の人数が多い編成で演奏されるのが一般的です。弦楽器の音量が増していますから、それに対応して管楽器も大きな音量が必要になることがあるわけです。このため2管編成の曲で木管楽器が倍管になる、つまり一番・二番奏者それぞれにアシスタントがつき各楽器4人になることがよくあります(ときには金管楽器も倍になったりしますが)。このときアシスタントは通常フォルテ以上の部分を重ねて吹きます。
 また、ホルンやトランペットなどでは、一番奏者にのみアシスタントをつけることがあります。これは音量を増やすためではありません。音域が高くフォルテが多いようないわゆるきつい曲で、ソロに備えたりばてないようにするために、フォルテあるいはフォルテシモ以上の部分を2本で吹くか交代で吹きます。
 ハイドンやモーツァルトの曲ではアシスタントがつくことはまずありません。その代わり、弦楽器の人数を減らして演奏されることが多いです。
 同じ古典派でも、ベートーヴェンの交響曲では倍管で演奏されることがよくあります。また、第九交響曲(本来は1〜4番の4パート)では一番ホルンにアシスタントがつくのが一般的です。カラヤンは倍管で演奏することが多かったようで、たとえばベルリン・フィルの「英雄」では木管楽器を倍にするだけでなく金管楽器も倍にし本来ホルン3本のところ6本で演奏していました。
 マーラーやストラヴィンスキーといった比較的新しい曲は、倍管にはあまりしません。現在の弦楽器の多い編成のオーケストラを想定して作曲されているでしょうし、3管あるいは4管編成(ホルンは4〜10本)で、もともとアシスタント的な役割をしているパートが用意されているのです。
 新響156回の「わが祖国」は木管楽器とホルンは倍管で演奏いたしましたがいかがでしたでしょうか。ちなみにチェコ・フィルの「プラハの春」での「わが祖国」は、ピッコロとチューバを除いた管楽器が倍管で演奏されていました。


157回演奏会に戻る

ホームに戻る