第193回演奏会のご案内


新交響楽団創立50周年シリーズ

 創立50周年シリーズは、あくまでも音楽中心であるという中心点、これまでの積み重ねの集大成という横軸と、単なる回顧にはしない新たな可能性を切り開く契機としての縦軸との交錯をイメージとして、演奏会の検討を重ねてまいりました。194回演奏会は、新響が発足した時代から日本人の現代作品演奏に深く関わりを持ち、現在も旺盛な指揮活動を継続しておられる岩城宏之氏を指揮者にお迎えしての演奏会であり、50周年企画の中核をなす企画といえましょう。新響発足当時、日本の音楽界に於いて意欲的な創作活動を展開していた「三人の会」メンバーとして芥川也寸志、黛敏郎、そして両名の師であった伊福部昭の作品を取り上げます。

芥川也寸志 交響管絃楽のための音楽

 新響の創立指揮者・音楽監督である芥川也寸志氏の代表作です。爽快で活気に溢れた力強い音楽、魅力的でリリシズムに満ちた旋律は、色褪せることなく永遠の輝きを持っております。言うまでもありません。新響では永年幾度となく演奏され続けてきた作品であり、まさに新響の血と肉となっている名曲のひとつです。

伊福部昭 管絃楽のための日本組曲

 本年2月91歳にて逝去された伊福部昭氏の作品は、新響にとって特別な存在と申し上げても過言ではありません。事実上の処女作である「ピアノ組曲」を1991年管弦楽に作曲者自ら編作され「日本組曲」として新たな命が吹き込まれました。1933年という時代、当時の北海道という場所でわずか19才の学生が全くの独学でほとんど何も使わずに「ピアノ組曲」を作曲した、という事実に敬意を表したい、との岩城氏の強いご提案によるものです。長い音楽人生と経験の元となる凝縮された想いをお聞きください。

黛敏郎 涅槃交響曲

 当時、アヴァンギャルドの先頭と見られ、広汎な音楽活動と新しい音材の開拓を実践していた黛敏郎氏にとって、当時の頂点とも言える記念碑的な作品です。1958年第3回「三人の会」にて岩城氏により全曲初演、同氏にとっても涅槃はライフワークとして重要な位置を占めております。初演当時は日本の作曲界に大きなショックを与え、新しい視野に立った転回点のひとつの作品として注目されています。仏陀が瞑想によって到達した悟りの境地である涅槃を音そのものとして表現し、会場の三箇所から異なった素材の響きが交錯してくる大規模な音楽空間が、涅槃という永遠の響きとして心に残ります。

新交響楽団創立50周年シリーズ

1)第192回演奏会 2006年1月22日(日)東京芸術劇場14:00
指揮:小松一彦
曲目:三善晃/交響三章
   ショスタコーヴィチ/交響曲第8番

2)第193回演奏会 2006年4月16日(日)東京芸術劇場14:00
指揮:高関健
曲目:猿谷紀郎:Swells of Athena/搖光の嵩まり
   ショスタコーヴィチ(バルシャイ編)/室内交響曲作品110a
   R.シュトラウス/アルプス交響曲

3)第194回演奏会 2006年7月22日(土)サントリーホール19:00<芸術文化振興基金助成事業>
指揮:岩城宏之 合唱:栗友会
曲目 芥川也寸志/交響管絃楽のための音楽
   伊福部昭/管絃楽のための日本組曲
   黛敏郎/涅槃交響曲

4)第195回演奏会 2006年11月12日(日)東京芸術劇場14:00
指揮:飯守泰次郎 
独唱:緑川まり(sop)成田勝美(ten)ほか
曲目:ワーグナー/楽劇「トリスタンとイゾルデ」抜粋(演奏会形式)

新交響楽団のプロフィル

新交響楽団は1956年に創立されたアマチュアオーケストラです。音楽監督・故芥川也寸志の指導のもとに旧ソ連演奏旅行、ストラヴィンスキー・バレエ三部作一挙上演、10年におよぶ日本の交響作品展(1976年にサントリー音楽賞を受賞)、ショスタコーヴィチ交響曲第4番日本初演など意欲的な活動を行ってきました。またマーラーの交響曲全曲シリーズ(故山田一雄指揮、1979〜90)、ベルリン芸術週間への招聘・邦人作品演奏(故石井眞木指揮、1993)、ワーグナー「ワルキューレ」演奏会形式公演(飯守泰次郎指揮、1996)、伊福部昭米寿記念演奏会(2002)、バルトーク「中国の不思議な役人」復刻版全曲演奏(2003)、石井眞木遺作「幻影と死」完全版初演(いずれも高関健指揮、2004)など、幅広い活動を積極的に展開しています。近年はロシア極東交響楽団芸術監督ティーツ、オフチニコフ(ピアノ)との共演など、海外の芸術家との交流にも取り組んでいます。


第194回演奏会(2006年7月22日)ちらしより

これからの演奏会に戻る

ホームに戻る