第189回演奏会のご案内


飯守泰次郎のドイツ音楽
−−新交響楽団第189回演奏会へのお誘い

この4月と7月、新響の演奏会に飯守泰次郎氏が連続で登場します。1993年以来、継続的に飯守泰次郎氏と共演を続けてきた新響ですが、昨年はスケジュールの関係から共演が実現しませんでした。その間に、飯守氏はますます活発な活動を繰り広げ、社会的にも平成15年度に「芸術選奨文部科学大臣賞」受賞、平成16年度に「紫綬褒章」受章と、指揮者としての総合的な実力がゆるぎないものとして広く認められるようになっています。そこで今回、待ちに待った新響は「飯守ワールドへの渇き」を満たすべく意欲的なプログラムを組みました。

今回の聴きどころ

ベートーヴェン、その後継者たらんとしたシューマン、および彼が才能を見出したブラームス−−ドイツ音楽の真髄と言える3人の作品を、その第一人者としてドイツでの指揮経験の長い飯守氏の指揮で演奏します。それぞれの曲のもつ重厚で輝かしいハーモニーに対する氏の絶妙な感性を新響がどこまで体得し、演奏に反映する事ができるかがポイントといえましょう。氏の調性に対する思い入れは、なぜブラームスの2番がニ長調なのかをきっと納得させてくれることと思います。

苦悩・闘争を経て輝かしい勝利へ−前半

第1曲はゲーテの台本による独立闘争の英雄の悲劇と栄光を謳ったベートーヴェンの傑作、劇音楽「エグモント」から有名な序曲です。
続いて、同様に「闘争から勝利へ」の図式に基づいたシューマンの交響曲第4番です。悲劇的かつロマンティックな序奏で始まり、激しく情熱的な主題が全楽章を通じて循環・展開され大きなソナタを構成する、シューマンのベートーヴェンへの憧れ・対抗心がひしひしと伝わってくるロマン派交響曲の傑作です。4楽章が切れ目なく演奏されます。

ブラームスの「田園交響曲」−後半

休憩後は雰囲気を一転して、ホルンの謳いあげる柔らかい主題で始まるブラームスの交響曲第2番です。
20年もの歳月を要した重い第1交響曲(ハ短調)と対照的に、オーストリア南部の湖畔の保養地で夏季休暇中に一気呵成に書き上げられたというエピソードの通り、明るい旋律がよどみなく展開していく美しい曲です。一方でその音楽自体はあくまで重厚・抽象的なものであり、彼がまぎれもなく前半2人と同じ系譜に連なっていることが理解できる曲でもあります。

飯守泰次郎―新響

過去10年間にわたる共演で、ワーグナー(ワルキューレ第一幕、指輪抜粋)・ブルックナー(交響曲7・8番)の作品を始め、ブラームス(1・3・4番)、更にマーラー、ストラヴィンスキー、サン=サーンス、邦人作品など幅広い作品群を取り上げてきました。
飯守氏の新響に対する要求は高く、時にアマチュアのレベルを遙かに超えています。また常に音楽の全体像を把握することが求められます。この2年間、新響は飯守氏の再登場を待ちながら、氏から吸収してきた数多くの事柄、すなわち演奏技術的なことはもちろんのこと、音楽を愛する者=アマチュアとして、音楽への深い想いを表現できるようにと精進してまいりました。久しぶりの飯守氏との出会いとして、新響は今回のプログラムに挑戦します。皆様のご来場をお待ちしております。

新交響楽団のプロフィル

新交響楽団は1956年に創立されたアマチュアオーケストラです。音楽監督・故芥川也寸志の指導のもとに旧ソ連演奏旅行、ストラヴィンスキー・バレエ三部作一挙上演、10年におよぶ日本の交響作品展(1976年にサントリー音楽賞を受賞)、ショスタコーヴィチ交響曲第4番日本初演など意欲的な活動を行ってきました。またマーラーの交響曲全曲シリーズ(故山田一雄指揮、1979〜90)、ベルリン芸術週間への招聘・邦人作品演奏(故石井眞木指揮、1993)、ワーグナー「ワルキューレ」演奏会形式公演(飯守泰次郎指揮、1996)、伊福部昭米寿記念演奏会(2002)、バルトーク「中国の不思議な役人」復刻版全曲演奏(2003)、石井眞木遺作「幻影と死」完全版初演(いずれも高関健指揮、2004)など、幅広い活動を積極的に展開しています。近年はロシア極東交響楽団芸術監督ティーツ、オフチニコフ(ピアノ)との共演など、海外の芸術家との交流にも取り組んでいます。


第189回演奏会(2005年4月17日)ちらしより


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