第184回演奏会のご案内


再び小松一彦

 2003年1月に続き、指揮者小松一彦の登場です。卓越したバトンテクニックとニュアンスに富んだ指示で、色彩感のある演奏を得意とする氏ですが、何よりも音楽への熱い思いを感じる指揮者です。また長年にわたり芥川作曲賞での指揮を担当するなど、現代日本人作曲家の作品に造詣が深い指揮者でもあります。

日本人の作品を演奏する楽しみ

 新交響楽団は、創立20周年「日本の交響作品展」以来、継続して日本人の作品を取り上げてきました。それらを演奏する喜びの一つは、作曲家とともに音楽を作り上げるところにあります。リハーサルに何度も立ち会っていただき、作曲者自身の指示を仰ぎながら演奏できた経験は、新響にとってまさに無形の財産となっています。今後も現役作曲家の作品を中心に演奏していく予定です。
 今回は小松とも親交のある安部幸明の作品を取り上げます。氏は1911年(明治44)生まれの92歳。東京音楽学校でチェロを学び、研究科作曲部にてプリングスハイムに師事、1949年(昭和24)に平尾貴四男、高田三郎らと「地人会」を結成しています。1957年に作曲された交響曲第1番は、調性のない曲を好まず、簡潔・平易な表現をモットーとする氏の代表作です。

2人のフランスの巨匠

 後半はフランスもの-「音の魔術師」ラヴェルのラ・ヴァルスと「近代フランス音楽の父」フランクの交響曲です。華やかで躍動感あふれるラ・ヴァルスと宗教的で重厚なフランクの交響曲は、同じフランスの交響作品でも両極端のキャラクターを持ちますが、小松の棒はそれぞれの香りを引き立たせ、魅力的な音楽となるでしょう。
 皆さまのご来場をお待ちしています。

新交響楽団のプロフィル
 1956年創立。音楽監督・故芥川也寸志の指導のもとに旧ソ連演奏旅行、ストラヴィンスキー・バレエ三部作一挙上演、10年におよぶ日本の交響作品展(1976年にサントリー音楽賞を受賞)などの意欲的な活動を行ってきた。
 その後もマーラーの交響曲全曲シリーズ(故山田一雄指揮)、ショスタコーヴィチ交響曲第4番日本初演、日本の交響作品展91、92(故石井眞木指揮)などの演奏会、1993年9月にはベルリン芸術週間に参加して3邦人作品をフィルハーモニーで演奏するなど、積極的な活動を行っている。
 1996年には創立40周年記念シリーズでワーグナー「ワルキューレ」の演奏会形式公演(飯守泰次郎指揮)、「日本の交響作品展'96」では1930年代から40年代にかけての知られざる作品を発掘するなど、各方面から注目を集めている。

第184回演奏会(2004年1月18日)ちらしより


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