第181回演奏会のご案内


新たなる飛躍を目指して

 新交響楽団は、1956年に創立しました。草創期から故芥川也寸志の指導の下、これまでに日本の交響作品展等、多種多様な企画に取り組んでまいりました。2006年に創立50周年を迎えます。その50周年に今までの活動の集大成をし、また、未来の新響の活動はどうすべきか、われわれは今考えております。この1〜2年、音楽的基礎を充実させよう、という取り組みを行ってきました。
 前回1月の演奏会では、今まであまり取り組んでこなかった「フランスもの」に取り組みましたが、今回は、「20世紀に活躍した作曲家」に焦点を当て、ベラ・バルトーク、クルト・ヴァイル、レナード・バーンスタインに挑戦いたします。指揮者には1990年4月の127回演奏会(ショスタコービッチ交響曲第1番、ブラームス交響曲第1番)以来の共演となる高関健をむかえます。
 今回の取り組みは、50周年を視野に入れ、さらにその後の新響の活動をより充実させるための出発点として位置づけております。バルトークは「オーケストラのための協奏曲」などを取りあげていますが、ヴァイルとバーンスタインは初めての挑戦です。

バルトーク:バレエ音楽「中国の不思議な役人」全曲(合唱付)

 今回は演奏会用の組曲版ではなく全曲版ですが、作曲者の次男ペーター・バルトークがオリジナルスコアを1999年に復元した版を演奏いたします。米国・フロリダ州を拠点とするバルトーク・アーカイブを率いるピーターは、その研究成果として同改訂版を2000年に出版しました。他にもピアノ協奏曲第一番などを新版で出版しております。

ヴァイル:交響曲第2番

 二つの世界大戦の間、フランスで作品が頻繁に演奏された外国の作曲家がガーシュインとドイツ生まれのヴァイルですが、彼の作品の中心は劇場音楽です。有名なのは、彼がナチスの脅威を逃れてベルリンから脱出しフランスに亡命したあと形になった歌つきバレエ「7つの大罪」ですが、それらの中にあってこの交響曲は「純音楽」として孤立した作品といえます。覚えやすいメロディー、リズムのオスティナート、管弦楽テクスチュアにおける管楽器の優勢、フレージングの明瞭さ、といった特徴がありますが、楽器編成の面ではモーツァルト風の古典的交響曲をモデルにしていると考えられます。

バーンスタイン:管弦楽のためのディヴェルティメント

 この曲こそ、まさに新響にとって新たなる取り組みといえるでしょう。8つの小さな曲からなり、作品全体がウィットとユーモアに飛んでいて、しゃれっ気もあり、ティル・オイレンシュピーゲルを髣髴とさせるようなものがあります。また、ジャズやブルースなどの音楽の要素をふんだんに取り組んだ作品です。

 このように、20世紀の作品といっても、いわゆる「現代音楽」というわけではなく、また国籍も多岐にわたっており、曲の内容もバラエティーに富んでおります。これらの曲目はまさに高関の才能を如何なく発揮できるプログラムであり、ぜひ、ご来場いただき、新響の新しい取り組みの一環をお楽しみください。(T.K.)

●新交響楽団
 1956年創立。音楽監督・故芥川也寸志の指導のもとに旧ソ連演奏旅行、ストラヴィンスキー・バレエ三部作一挙上演、10年におよぶ日本の交響作品展(1976年にサントリー音楽賞を受賞)などの意欲的な活動を行ってきた。その後もマーラーの交響曲全曲シリーズ(故山田一雄指揮)、ショスタコーヴィチ交響曲第4番日本初演、日本の交響作品展91、92(石井眞木指揮)などの演奏会、1993年9月にはベルリン芸術週間に参加して3邦人作品をフィルハーモニーで演奏するなど、積極的な活動を行っている。1996年には創立40周年記念シリーズでワーグナー「ワルキューレ」の演奏会形式公演(飯守泰次郎指揮)、「日本の交響作品展'96」では1930年代から40年代にかけての知られざる作品を発掘するなど、各方面から注目を集めている。

第181回演奏会(2003年4月27日)ちらしより


これからの演奏会に戻る

ホームに戻る