第180回演奏会のご案内


●今ここで小松=幻想ができる喜び−これからの新響のために
 小松一彦と新響は、1995年「映画誕生記念演奏会」、2000年「東京の夏音楽祭」の「映画と音楽」での共演を行いましたが、今回はフランスの作曲家のみによる演奏会です。幻想交響曲は1989年1月22日、山田一雄指揮の第122回演奏会以来となります。
 ご存知の通り、新響は創立直後から音楽監督・芥川也寸志の指導を受け、その後山田一雄をはじめとする多くの指揮者の方々に育てられてきました。その第122回演奏会の11日後の1月31日に芥川也寸志が他界しており、「幻想」には因縁めいたものを感じます。その2年半後の7月には山田一雄も永眠しています。
 当時、新響はある意味で成熟期を迎えていたといっていいでしょう。その成熟期を支えていただいたお二人を失ってから10年以上が経過し、当時と今とでは時代も変化し、メンバーもだいぶ替わってきており比較するべくもありませんが、オーケストラとしての「節目」を痛切に感じ、ここ数年は基本的な音楽表現手段の向上を目指し、メンデルスゾーン、ブラームスなども取り上げてきました。そして本年7月の178回演奏会でのブルックナー交響曲第8番の成功で、次の新たな次元に向けてスタートを切ったのでは、と考えております。
 そのスタートにあたり、小松一彦という類まれな構成力と表現力を併せ持つ指揮者の元で、新響としてあまり取り組んでこなかったフランスものを取り上げ「幻想」を演奏できるのは、われわれにとって今後の新響の発展を考える上で非常に意義深く、この上ない喜びです。その喜びと熱意をたくさんのお客様に発信し、共有できれば幸せです。ご来場を団員一同心よりお待ち申し上げております。

●小松一彦
 故斎藤秀雄門下で1972年桐朋学園指揮科卒業。1978年N響デビュー後世界で活躍。数多くの海外オーケストラで常任客演指揮をつとめるかたわら、国内ではセントラル愛知交響楽団芸術顧問・首席指揮者、大阪芸術大学教授をつとめる。また、現代・邦人作品演奏においても第一人者であり、芥川作曲賞等年間数多くの新作初演を手がけている。NHK「名曲アルバム」、テレビ朝日系「題名のない音楽会」の常連として一般の知名度も高い。

●新交響楽団
 1956年創立。音楽監督・故芥川也寸志の指導のもとに旧ソ連演奏旅行、ストラヴィンスキー・バレエ三部作一挙上演、10年におよぶ日本の交響作品展(1976年にサントリー音楽賞を受賞)などの意欲的な活動を行ってきた。その後もマーラーの交響曲全曲シリーズ(故山田一雄指揮)、ショスタコーヴィチ交響曲第4番日本初演、日本の交響作品展91、92(石井眞木指揮)などの演奏会、1993年9月にはベルリン芸術週間に参加して3邦人作品をフィルハーモニーで演奏するなど、積極的な活動を行っている。1996年には創立40周年記念シリーズでワーグナー「ワルキューレ」の演奏会形式公演(飯守泰次郎指揮)、「日本の交響作品展'96」では1930年代から40年代にかけての知られざる作品を発掘するなど、各方面から注目を集めている。

第180回演奏会(2003年1月26日)ちらしより


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