第165回演奏会のご案内


ブダベスト指揮者コンクール優勝者・井崎正浩との共演で「北の音楽」

今回、新交響楽団はチャイコフスキー、伊福部、プロコフィエフと「北」の音楽を取り上げます。この3人の作曲家はそれぞれロシア、北海道、旧ソ連出身です。指揮は井崎正浩、新響第158回演奏会のストラヴィンスキー「春の祭典」ショスタコーヴィチ「交響曲第5番」以来、約2年ぶりとなる2度目の共演です。
奇しくも前回、今回ともに「ロシア・ソ連もの」中心のプログラムですが、これは偶然ではありません。1995年にハンガリー・ブダペスト国際指揮者コンクールで優勝した井崎は最近、オーストリア国境に近いソンバトヘイ市にあるサヴァリア交響楽団の芸術監督および常任指揮者に就任しました。地元ハンガリーでその指揮が絶賛され、支持されていることからも察せられるように、井崎は旧東欧の音楽との抜群の相性をいつも見せてくれます。テンポ感のよさ、シヤープなりズム感は他の追随を許しません。
一方では新交響楽団も、故芥川也寸志が音楽監督の叶代からドライブ感のあるロシアものの演奏には定評があり、今回も両者の個性が一体となった名演が期待できます。また、今後も7月の小林研一郎による芥川也寸志作品演奏会(没後10周年)、10月のヴィクトル・ティーツ(ロシア・ハバロフスク極東交響楽団音楽監督)指揮によるロシア正統派の音楽と続きます。しばらく新響得意のレパートリーを楽しんでいただけそうです。

新響得意のプログラムで九州演奏旅行

今回は地元出身の指揮者・井崎とともに福岡市民オーケストラとのジョイントコンサートで「1812年」を合同演奏するのをはじめ、熊本市(熊本県立劇場)、北九州市(九州厚生年金会館)での新響主催の演奏会を行います。今でも東京以外でのオーケストラ公演といえば「運命」「新世界」といった超メジャー・プログラムの傾向がありますが、新響は1993年のベルリン芸術週問に石井真木、伊福部昭などの邦人作品を持参したのと同様、新響ならではの演奏ができるプログラムを用意しました。
九州の皆様にとっては初めて耳にするオーケストラかもしれません。1956年に創立し、作曲家の故芥川也寸志が30年にわたって指導にあたったアマチュアオーケストラで、団員はすべてアマチュア奏者で構成されています。プロのように鮮やかな名人芸でスマートに、というわけにはいきませんが、プロより回数の多い練習により、思い入れを込めた新響だけにできる演奏をするつもりです。ご期待ください。

プロコフィエフの「ロメオとジュリエット」

名作中の名作、シェィクスピアの「ロメオとジュリエット」を題材とした音楽作品の中でバレエ音楽ということもあってか、プロコフィエフのものは特に人気があります。現代的なシャープさとほど良い抒情性が絶妙にマッチして、長大な作品ですが、聴く者を飽きさせない魅力にあふれています。プロコフィエフは小泉和裕との交響曲第5番以来、久々のプログラム登場になります。随所に名人芸を要求する難曲ですが、井崎のタクトで軽やかで華やかなノリのある演奏ができますかどうか、ご期待ください。今同は3つの組曲から抜枠で演奏いたします。

伊福部「タプカーラ」の尽きない魅力

「ゴジラ」の映画音楽で有名な作曲家・伊福部昭の代表作の一つである「シンフォニア・タプカーラ」は新響得意のレパートリーです。何回となく再演していますが、指揮者による解釈の違いが楽しめる掛け値なしの名曲です。前回、原田幸一郎との共演では、土俗的なだけではない洗練された表現も楽しむことができました。今回はまたどんな「タプカーラ」を皆様にお聴かせできるのか、私たち演奏者も興味津々です。短い中にもチャィコフスキーらしさをちりばめた「1812年」ともども、ぜひホールでお楽しみ下さい。

新交響楽団プロフィル

1956年創立。音楽監督・故芥川也寸志の指導のもとに旧ソ連演奏旅行、ストラヴィンスキー・バレエ三部作一挙上演、10年におよんだ日本の交響作品展(1976年にサントリー音楽賞を受賞)などの意欲的な活動を行ってきた。最近ではマーラーの交響曲全曲シリーズ(故山田一雄指揮)、ショスタコーヴィチ交響曲第4番日本初演、日本の交響作品展91、92(石井眞木指揮)などの演奏会、また93年9月にはベルリン芸術週間に参加して3邦人作品をフィルハーモニーで演奏するなど、積極的な活動を行っている。96年には創立40周年記念シリーズでワーグナー「ワルキューレ」の演奏会形式公演(飯守泰次郎指揮)、「日本の交響作品展'96」では1930〜40年代の知られざる作品を発掘するなど、各方面から注目を集めている。

第165回演奏会(1999年4月17日)ちらしより


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