第164回演奏会のご案内


楽しみな新交響楽団1999年の演奏会

1999年の新交響楽団の演奏会は、例年に増して多彩な企画が予定されています。
新年明けた1月の演奏会は、ここ数年、新交響楽団が招聘する指揮者のなかで中心的存在となっている飯守泰次郎(東京シティ・フィル常任指揮者)が指揮台に立ちます。
4月の演奏会には、最近ハンガリーのサヴァリア交響楽団(ソンバトヘイ市)の芸術監督および常任指揮者に就任した井崎正浩を招き、プロコフィエフや、新響にとっては久しぶりとなる伊福部昭の「シンフォニア・タプカーラ」を演奏します。伊福部ファンにとっては聴き逃すことのできない演奏会となるでしょう。
続く5月には九州出身の井崎正浩とともに福岡市、熊本市、北九州市への演奏旅行を行い、地元のアマチュア・オーケストラとの合同演奏会なども予定しています。
7月の演奏会は、会場をサントリーホールに移し、小林研一郎(日本フィル常任指揮者)の指揮で、新交響楽団創立指揮者である作曲家・芥川也寸志の没後10年を記念して、茶川也寸志の代表的管弦楽作品の数々を演奏します。
10月は、ロシア共和国ハバロフスク極東交響楽団の音楽監督・常任指揮者のヴィクトル・ティーツを招聘し、旧ロシアのローカル色たっぷりなプログラムの演奏を聴いていただく予定です。

魅力溢れる飯守泰次郎のドイツ音楽

さて、最初に登場する飯守泰次郎は、1998年には2月の群響定期、3月の名古屋フィル定期、大阪国際フェスティバルでのバイロイト出演歌手による演奏会、そして7月の新響の「リング」ハイライトと続いた、ワーグナーを演目とする演奏会で圧倒的な力量を示し、聴衆に大きな感銘を与えました。また、朝日新聞や各音楽誌批評の絶賛記事も記憶に残るところです。
今回、最初に演奏されるブラームスも、飯守の得意とするレパートリーのひとつです。1997年には、浜離宮ホールの企画で新星日響との共演により編成を絞ったブラームス・チクルスを行っています。現在の日本で、ブラームスを演奏するにふさわしい数少ない指揮者のひとりであることは間違いありません。

色彩溢れる飯守泰次郎のフランス音楽

プログラムの後半はサン=サーンスの交響曲第3番です。昨今オルガン付きの大ホールが増えたせいで、電子的なオルガン演奏によらない本格的演奏が可能となり、演奏される機会も多く人気の高い名曲となっています。「ドイツ音楽の守護神」のごときイメージの強い飯守ですが、実はドビュッシーをはじめとするフランス音楽の色彩と、風のような軽さをも心からの共感を持って指揮をするその魅力は、これまた、他の指揮者の追随を許しません。著名なオルガニストでもあり、ベートーヴェンを尊敬してやまなかったサン=サーンスの色彩あふれる交響曲を飯守がどう振るか、興味の湧くところです。

聴き逃せない深井史郎

ここ数年深井作品を演奏し続けている新響ですが、今回は深井の作品の中で最も名高い「パロディ的な4楽章」を取り上げます。作曲された1933年当時は、まだ日本における管弦楽曲の作曲は本格化しておらず、山田耕筰の初期作品群の作曲が一段落し、諸井三郎がピアノ協奏曲を作曲し翌年に最初の交響曲を完成させた頃です。他には菅原明朗の活動と橋本國彦の初期管弦楽作品が目立つ程度の時代であったのです。ほぼ独学に等しい深井の作曲は、欧米作曲家のスコアから直接学んで開花したものであり、その突出した異才ぶりを、ぜひあなたの耳で確認されることをお勧めします。

新交響楽団プロフィル

1956年創立。音楽監督・故芥川也寸志の指導のもとに旧ソ連演奏旅行、ストラヴィンスキー・バレエ三部作一挙上演、10年におよんだ日本の交響作品展(1976年にサントリー音楽賞を受賞)などの意欲的な活動を行ってきた。最近ではマーラーの交響曲全曲シリーズ(故山田一雄指揮)、ショスタコーヴィチ交響曲第4番日本初演、日本の交響作品展91、92(石井眞木指揮)などの演奏会、また93年9月にはベルリン芸術週間に参加して3邦人作品をフィルハーモニーで演奏するなど、積極的な活動を行っている。96年には創立40周年記念シリーズでワーグナー「ワルキューレ」の演奏会形式公演(飯守泰次郎指揮)、「日本の交響作品展'96」では1930〜40年代の知られざる作品を発掘するなど、各方面から注目を集めている。

第164回演奏会(1999年1月16日)ちらしより


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