第155回演奏会のご案内


<新響40周年シリーズ最終回はオール・ベートーヴェン・プログラム>

 新交響楽団創立40周年シリーズの第4弾、掉尾を飾るのはオール・ベートーヴェン・プログラムです。40周年シリーズではこれまでに1月にワーグナーの演奏会形式オペラ、4月にショスタコーヴィチ、プロコフィエフ等の旧ソ連の作曲家作品集、7月には2日連続で日本人作曲家の作品を一挙に計7曲取り上げるなど、いろいろな種類の曲を意欲的に取り上げてまいりました。
 そして、その締めくくりがベートーヴェンです。レオノーレ、田園、運命という、クラシック・ファンでなくても知っている「超名曲」を選びました。
 ベートーヴェンという作曲家、特にその交響曲はオーケストラにとって必須のレパートリーです。新響でもこの数年で交響曲第8番、7番、4番、2番、3番「英雄」など、少しずつ演奏を積み重ねてきました。
 そして今年6月、新響は新潟県のある町のホールからの依頼で「第9」を演奏しました。合唱団はその地域に住む方々です。信じられないほど多くの練習を積まれた合唱団の好演で感動的な演奏になりましたが、これもベートーヴェンの音楽のすばらしさゆえでしょう。
 言い古された言葉ですが、すべての人類に向かって等しく発信されたベートーヴェンの音楽。すべての人を包み込むような彼の音楽の前では、ドイツ語という言葉の壁などは問題になりませんでした。
 このたび新響が演奏する曲目がベートーヴェン中期の傑作であることはあらためて言うまでもないでしょう。かつては「田園」が、今は「運命」が中学校の音楽の鑑賞課題曲であることもあって、日本でもきわめて取り上げられることの多い曲目です。あまりに演奏回数が多くて「通俗名曲」などという称号?がつけられているぐらいなのですが、それだけに、ちょっと手垢のついてしまった印象もあります。
 しかし、これらの曲が演奏しやすいわけではありません。むしろベートーヴェンの演奏には、優れたアンサンブル能力や高い音楽性がどうしても必要です。ごまかしのきかない作曲家なのです。また、よく聴いてみると、おそろしいばかりの新鮮な響きが満ちあふれています。オーケストラの団員が聴き飽きているヒマはありません。
 このような意味で、新響は40周年の締めくくりとしてベートーヴェンを取り上げますが、この、大げさでなく人類にとっての世界遺産を真摯に演奏することで、これまで40年間に新響が培ってきた音楽の総決算にしたいと考えています。

第155回演奏会(1996年10月10日)ちらしより


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