第153・154回演奏会ご案内


<日本の交響作品展’96>

 新響が日本の交響作品を演奏する歴史は20年前、団創立20周年を記念した「日本の交響作品展シリーズ」に始まります。これは、作曲家であり当団の音楽監督であった芥川也寸志の企画により、演奏の機会が少ない日本人作曲家と作品の数々に光をあてたいという意図のもとに始められました。
 このシリーズは10年間にわたって続けられ、この間に第8回サントリー音楽賞、レコードアカデミー賞を受賞するなど大きな評価を得ることができました。これまでに32人の作曲家の約90曲を演奏(うち13曲が初演)、これらを収録したCDは14枚にのぼります。
 シリーズ終了後も邦人作品を積極的に取り上げる姿勢は継続され、93年にはヨーロッパ有数の芸術祭であるベルリン芸術週間に日本のオーケストラとして初めて招かれました。石井眞木の指揮による邦人作品3曲の演奏の反響は大きく、演奏会批評はドイツ国内の11紙に掲載され、高く評価されました。
 現在、ひと頃よりも邦人作品が取り上げられるようになってきたとはいえ、依然として特定人気作曲家の一部作品のみが取り上げられる状態が続いており、特に第二次大戦中および敗戦直後の作品はほとんど演奏されていません。
 近年の作品への評価は、ともすれば作曲技法・前衛性(すでに古い言葉になってしまいましたが)を重んじる風潮がなかなか抜けきれず、ふつうの聴衆がふつうに共感できる音楽への評価は不当に低い状況が続いてきました。
 ようやく「前衛志向」が雪解けをはじめた今日、「大正ロマン」の残照が色濃く残った1930年代、そして不安と狂気の時代である1940年代の作品にもう一度新しい光をあててみる必要があると確信しています。

<新交響楽団創立40周年シリーズ>

 労音アンサンブルとして1956年に発足した新交響楽団は今年創立40周年を迎え、これを記念して毎回テーマを設けた演奏会を行っております。
 シリーズ最終回の10月には原田幸一郎の指揮するオール・ベートーヴェン・プログラム。この偉大な作曲家の交響曲を特集した演奏会は、そのオーケストラの力量が正面から問われるものになりますが、新響はこれに挑戦します。40年間で培った音楽の蓄積を披露したいと考えています。

第153・154回演奏会(1996年7月6・7日)ちらしより


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