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第228回演奏会のご案内

 今回は、ますます円熟味が増し説得力のあるタクトを振る山下一史を指揮に迎え、ロマンティックな名曲を演奏します。


■永遠の名作「白鳥の湖」
 ロシアの大作曲家チャイコフスキーの作品の中でも、最も有名で愛好されているのがバレエ音楽「白鳥の湖」と言っても過言ではないでしょう。ドイツの童話を元に作られましたが、「ローエングリン」と同様に白鳥の化身が登場するなどワーグナーの影響を受けていると言われています。
 お話は、ジークフリート王子が白鳥の住む湖で美しいオデット姫に会う。姫は悪魔に白鳥の姿に変えられ夜だけ人間の姿に戻るが、呪いを解くにはまだ女性を愛したことのない男性に愛を誓ってもらう必要がある。王子の婚約者を選ぶ舞踏会にオデット姫を招待するが、だまされて悪魔の娘オディール(黒鳥)を選んでしまう。悪魔を討つも呪いは解けず2人は命を絶つ―という悲劇です。現世で結ばれハッピーエンドという演出もあります。
 今日ではバレエの代名詞のような存在となっている「白鳥の湖」ですが、初演は失敗で何回か上演されても評判にならず、お蔵入りになってしまいます。初演から16年後にチャイコフスキーが亡くなってマリンスキー劇場が追悼公演として上演し大成功を収め、世界中で歓迎される人気作品となりました。
 作曲者自身が選んで演奏会用組曲を作りましたが、今回は組曲以外の魅力的な曲も加えてたっぷりと演奏します。


■サン=サーンス~オルガンとシンフォニーの融合
 白鳥の登場する音楽で同じくらい有名なのは、サン=サーンスの「白鳥」でしょう。サン=サーンスはフランスの大作曲家ですが、「白鳥」の登場する「動物の謝肉祭」と同じ年に作曲された交響曲第3番は、彼のもっとも代表的な作品です。
 当時フランスでは、舞台音楽は人気があっても交響曲など純器楽曲は重要視されていませんでした。そんな中、サン=サーンスは番号なしの物も含め5曲の交響曲を書き、古典主義的な作品を残しました。国民音楽協会を設立し、同時代のフランスの作品を演奏する活動をしていましたが、2歳でピアノを弾き3歳で作曲をした神童であったサン=サーンスは、モーツァルトやベートーヴェンに親しみ、シューマンやワーグナーを紹介するドイツびいきでもありました。
 18歳で教会のオルガン奏者の職を得て、その後はパリの最高峰の教会オルガニストとして長年勤めていました。集大成ともいえる交響曲第3番では大胆にオルガンが使われています。ドイツロマン派のようなカチッとした重厚さの中に、新しい試みやフランス的エスプリも感じられる魅力的な作品です。東京芸術劇場のパイプオルガンの響きとともにお楽しみください。
 どうぞお楽しみに!(H.O.)

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