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第220回演奏会のご案内

ブルックナーの「神聖なる」交響曲
 ブルックナーはウィーンで活躍した後期ロマン派の作曲家です。1824年生まれでスメタナと同じ歳、ブラームスがちょっと年下で同じ年代です。00番(習作)、0番を含め11曲の交響曲を残しました。比較的演奏頻度が高いのが4、7、8、9番ですので、今回演奏する第5番はあまり馴染みのない方も多いかもしれませんが、むしろ第5番が一番好きというブルックナー愛好者が多いようです。
 では、第5番がどこが違うのかというと、まず冒頭、4、7、8、9番は、「ブルックナー開始」と呼ばれる弦楽器の霧のようなトレモロが用いられますが、第5番は低弦のピチカートに乗って高弦のゆったりした音の「対話」から始まります。ブルックナー自身が「対位法的」交響曲と呼んでおり、特に第4楽章はベートーヴェンの第九の影響を受け、二重フーガ現れるなどしっかりとした構成のフーガとなっています。
 ブルックナーは他人の意見に左右され改訂を繰り返したことが知られていますが、この曲は完成後初演されたのが16年後で、初演に病床で立ち会えず一度も聴いていないため改訂を行っておらず、よりブルックナーらしさが残っているのかもしれません。また、この曲が作られたのが職を失い収入が激減し精神的にも苦しい時期で、作曲で困難を乗り越えようとするブルックナーの意思を感じる部分も多いです。
 そういった理由からか、私はこの曲を聴くとヨーロッパの壮大な大伽藍がイメージされます。ウィーンでいえばシュテファン寺院でしょうか。きっぱりと荘厳で神々しい、個人的な感想ですがブルックナーの交響曲11曲のなかで一番「カッコいい」のではないかと思います。
 指揮者高関健はブルックナー愛好者であり。やはり第5番が一番お好きということでした。この第5番は構成が2管編成で小さい割に演奏時間が長大なためか、アマチュアでは演奏機会が少ないのですが、今回は木管楽器を倍管にして取り組み、大編成の壮大な響きをお楽しみいただけると思います。

ベルク唯一の管弦楽作品「3つの管弦楽曲」
 ベルクは1885年生まれ、シェーンベルクの弟子で新ウィーン楽派の作曲家です。歌劇「ヴォツェック」「ルル」など歌のある作品が多く、この「3つの管弦楽曲」にも歌が感じられます。無調音楽ではありますが和声的な面もあり、マーラーの影響も受け非常にドラマチックで、ブルックナーの第5番以上にカッコいいかもしれません。巨大な編成と複雑な譜割りのためか、これまたあまり演奏機会のない曲ですが、いつかやってみたかった憧れの曲に挑戦します。難しい現代音楽という先入観を持たずに聴いていただきたい名曲です。
 どうぞお楽しみに!(H.O.)

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