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第212回演奏会のご案内

高田三郎没後10年
 高田三郎(1913〜2000)は多くの声楽作品を残したことで知られる作曲家です。名古屋に生まれ、東京音楽学校(現在の東京藝術大学)作曲部に学びました。この頃から日本語あるいは日本の旋律に関係した作品を書くことを心に決め、平尾貴四男、安部幸明らと「地人会」を結成します。
 「音楽の伝統を尊重し、古典、浪漫、近代を通じて混沌たる現代へ流れる音楽の歴史から貴い糧を得よう。そしてそれによって培われた我々の音楽性を以て我々の心の歌を歌おう。」(「地人会はどう進んできたか」より)その言葉のように、西洋と日本の伝統文化を尊重した器楽作品を書きましたが、その後は合唱曲中心の活動に移り、なかでも『水のいのち』は多くの人に歌われ合唱のスタンダード曲となっています。またクリスチャンで、典礼聖歌(カトリック教会で使用される聖歌集)の作曲を手掛け
ました。
 今回の演奏会では、数少ない管弦楽作品の中から2つの「狂詩曲」を演奏します。第1番は木曽節、第2番は追分節をテーマにしたもので、日本的な抒情味のある親しみやすい曲です。高田自身の指揮で初演されて以来演奏される機会がなく、今回約60年ぶりの蘇演となります。

ルーマニア狂詩曲
 狂詩曲=ラプソディーとは叙事的で民族的な内容を持つ自由な形式の楽曲をいい、既成のメロディーが用いられたりメドレーのような構成になることが多いです。有名なものでは、ドボルザークのスラブ狂詩曲やリストのハンガリー狂詩曲などがあり、自国の民族音楽を元に作曲されています。今回は東欧の自然豊かな国ルーマニアの「狂詩曲」を演奏します。
 ルーマニアの代表的な作曲家であるエネスコは、7歳でウィーン音楽院、13歳でパリ音楽院に入学した早熟の天才で、世界的なヴァイオリニストとしても活躍しました。「ルーマニア狂詩曲」はエネスコの曲の中で最もよく知られており、第1番はジプシー風の旋律からなる華やかな曲、第2番はバラード風の情緒溢れる曲です。
 今回の指揮者である曽我大介はルーマニアと縁が深く、ルーマニア国立音楽大学を卒業後ルーマニアの多くのオーケストラと共演し、現在も関係を深めています。

バレエ音楽「ペトルーシュカ」
 さて最後に演奏するのは、ストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」です。「火の鳥」「春の祭典」とともに、ストラヴィンスキーの三大バレエ音楽の一つとされます。他の2曲に比べ少々知名度が低いかもしれませんが、「のだめカンタービレ」で「きょうの料理」のテーマが混じってしまった曲と言えば、イメージできる方も多いのではないでしょうか。
 ロシア版ピノキオのようなお話で、見世物小屋の人形ペトルーシュカが魔法で命を吹き込まれ、バレリーナの人形にかなわぬ恋をする物語です。今回は1911年の初演時よりオーケストレーションが整理され華やかになった1947年版で演奏します。
どうぞご期待下さい。(H.O.)

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