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196回演奏会のご案内

シンフォニア・タプカーラ
 2006年2月8日に伊福部昭先生が亡くなってから、196回演奏会当日でほぼ1年となります。今回は先生の1年祭ということもあり、これまでに何度も演奏してきた「シンフォニア・タプカーラ」をメインとしたプログラムを組みました。
 「この曲の初稿は1954年に完成したが後に改訂を施し1979年12月に脱稿した。作者によれば主たる改訂は、1楽章の冒頭、2楽章の中間部、3楽章の結尾部に行われたという。改訂版の初演は1980年4月6日、芥川也寸志指揮により、当団第87回演奏会「日本の交響作品展-4 伊福部昭」で行われた」(第145回演奏会プログラムより)
 伊福部作品を新響は数多く演奏しており、創立50周年記念シリーズでも7月に「管絃楽のための日本組曲」を取り上げました。しかし、上記のプログラムの文章にあるように、伊福部作品の中でも「シンフォニア・タプカーラ」は新響のために改訂版を作っていただいた記念すべき作品として、今なお新響団員の一つの拠りどころとなっています。
 タプカーラとは、アイヌの足を踏みしめる動作を意味しており、悪霊を追払い良霊を招くものとされています。この日本の古い信仰に根ざした動作が各地の民族芸能や宗教儀式に今も多数見られ、身近なところでは相僕の四股(しこ)もこれにあたると言われています(同上より)。
 今回の演奏は2002年5月の伊福部昭米寿記念演奏会以来となります。また、指揮の井﨑正浩氏とは1999年の165回演奏会でこの曲を演奏しており、その際、伊福部先生にリハーサルに来ていただきました。約8年経った196回演奏会で、その時の経験がどのように発揮されるか、ご期待ください。

「イーゴリ公」と「ハーリ・ヤーノシュ」
 プログラムの前半はロシア・東欧作品です。指揮の井﨑正浩は海外での拠点をハンガリーに置き、これまでにハンガリー国立響(現、ナショナル・フィル)、ブダペスト放送響、マターヴ響、マーヴ響、ハンガリー国立歌劇場管弦楽団(ブダペスト・フィル)などを始めハンガリーの主要なオーケストラのほとんどに客演指揮し、高い評価を受けています。
 井﨑にとって第2の故郷ともいえるハンガリーを代表する作曲家、コダーイの組曲「ハーリ・ヤーノシュ」はオペラというよりも「歌つき芝居」の原曲から、作曲者自身が編曲したものです。ハーリ・ヤーノシュは、ハンガリーでは知らない人がいないほど有名な伝説上の人物であり、退役軍人の彼が若い頃、ウィーンに攻めてきたナポレオン軍と戦って撃退したというホラ話が内容になっています。ツィンバロンが曲の中で効果的に使われており、マジャール(ハンガリー)の郷愁を効果的に表しています。
 1曲目のイーゴリ公もルーシ(現在のウクライナにあたる地域)の英雄の物語で、ロシア文学の草創期を代表する叙事詩を基にしたオペラの序曲です。
 196回演奏会当日は東京でも寒さが最も厳しい時期ですが、ルーシ=マジャール=アイヌの熱い思いを込めた演奏会にしたいと思います。

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